にきび・にきび痕で悩んでいたら
にきび痕もいろいろ
一口ににきび痕が気になると言っても、にきび痕にもいろいろな病態があります。にきびが治った直後は、炎症の名残の赤みが続くことが多いです。これは待っていれば通常はいつか消退するものですが、長引く場合もあります。
また、炎症の後には色素沈着(シミ)が出来るもの。この炎症後の色素沈着も、通常は1年くらい待っていれば消退するものですが、残ってしまうこともあります。
軽症のにきびの後であれば、見られるのは上記の赤みかシミまでで、待っているだけでも消えることも多いし、比較的マイルドな治療で早期の改善も望めます。
にきびが重症になって、真皮の深い層までが損傷を受けると、にきびが治った後、皮膚が凹んだ状態の瘢痕が残ってしまうことがあります。いわゆるにきび痕の「クレーター」です。あるいは「萎縮性瘢痕」と呼ばれることもあります。こうなると治療はだいぶ難しくなり、ダウンタイムを覚悟した強力な治療が必要となります。
にきび痕の治療
まずはにきびの治療をしましょう
にきびは繰り返し出来ては治ることが多いですから、にきび痕と未治癒のにきびとが混在していることはよくあります。いくらにきび痕の治療をしても、新しいにきびによって次々とにきび痕が出来てしまっては元も子もありません。まずはにきびの治療を優先しましょう。
にきびの治療は、健康保険でディフェリンやベピオなどのかなり効果的な薬を使うことが出来ます。当院でも健康保険のにきび治療は可能です。
健康保険のにきび治療で不十分な場合には、ケミカルピーリングの併用が効果的です。当院ではサリチル酸マクロゴールピーリングを行っています。
成人女性のにきびに対しては、上記に加えた補助療法としてスピロノラクトンを内服することもできます。
にきび痕の赤みに対して
にきび痕の赤みは待っていればいつかは消えるもの、とはいっても時間がかかることも多いし、できるだけ早くおさらばしたいものですね。フォトフェイシャルによって、にきび痕の赤みがより早く消退することが期待できます。
にきび痕の色素沈着に対して
にきび痕がシミになった場合、それが出来たばかりの新しいシミであれば、待っているだけでも消える可能性はあります。日焼け止めの使用や、テープで遮光するなどの紫外線ケアはシミの予防に効果的です。シミが残りやすい肌質の場合は、ハイドロキノンとトレチノインの併用で効果的に予防することができます。
また、にきび痕の赤みと色素沈着が混在する場合は、赤みに対しても効果が期待できるフォトフェイシャルが良い選択肢となるでしょう。にきび痕の赤みが1年以上経っても残ってしまった場合は、Qスイッチルビーレーザーなどの強力な治療が必要となってきます。
にきび痕のクレータ-に対して
にきび痕のクレーターの治療はやっかいなものです。私の知識と経験では、最も効果が高い治療法は2つあって、1つはTCAピンポイントピーリング、もう1つは炭酸ガスレーザーでにきび痕を1つずつ浅く削って、厳密な閉鎖療法で綺麗に治るのを期待する方法です。後者はにきび痕がごく少数あるような場合には可能ですが、クレーターがたくさんある場合にはあまり現実的ではありません。ダウンタイムを覚悟の上で、強力な治療を求める方には、前者のTCAピンポイントピーリングをお勧め致します。
コラーゲンピールは、上記のピンポイントピーリングで用いるTCAの濃度と併用剤の最適化によって、効果とダウンタイムのバランスを改善した方法です。コラーゲンピール単独では効果がだいぶ弱くなってしまうので、ダーマペンを併用することで、最小限のダウンタイムで程良い効果が期待できます。