肌のできもの
肌にできものができて
「悪いものでないか心配」
「引っかかって、たまに出血する」
「邪魔になって、日常生活に支障が出る」
「急に大きく腫れてきた」
このような場合、そのできものは健康保険が適用されて、摘出することができます。単なる美容目的の場合は、自費での対応となります。
(炎症性粉瘤など、いったん切開排膿だけして、炎症が落ち着いてから摘出となる場合もあります)
悪性腫瘍であると診断がついている場合と、疑いだけの段階では、治療方針が異なることがあるので、先に皮膚科医の診断を仰いでからの手術となる場合もあります。
さまざまな皮膚腫瘍
※原則、健康保険適用で摘出手術の対象となります
母斑(ほくろ)
小さなものはいわゆる「ほくろ」です。特に小さいものは炭酸ガスレーザーで焼灼します(自費診療)。ある程度大きいものは切除することになります。さまざまなタイプがありますが、特殊なものについては別項に挙げます。外観は色調、形状、大きさ、いずれもさまざまです。病理組織学的に診断がついている症例を下にいくつか提示します(横にスライドするとご覧いただけます。また、スライドできることを示す印はタップすると消えます)。

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑

母斑
脂漏性角化症
いわゆる「イボ」の一つで、年を重ねることで増えてくるありふれたイボです。炭酸ガスレーザーで焼灼する(自費診療)場合が多いですが、母斑や皮膚癌などと紛らわしい病変や、厚みが強い病変などについては、切除の対象となります。
尋常性疣贅
ウィルス性で、ありふれているイボの一つです。液体窒素療法(当院対応不可、保険)、炭酸ガスレーザー(自費)、外科的切除(保険)などで治療します。残念なことに再発しやすく、治療に困ることが多いできものです。
粉瘤
皮下のできものの中で特にありふれたものの一つです。ドーム状に盛り上がっていることが多く、大きさは数mmから数cm大、少し軟らかく、押すとぐにゅっと少しだけ凹むことが多く、「脂肪のかたまり」と表現されることもあります。実際には、皮下に嚢腫(袋状のできもの)があり、嚢腫の中は粥状の物質で満たされています。典型的には皮膚側に開口部があって、そこから嚢腫の中身が出てくることがあります。ときどき皮下で嚢腫の壁が破れて炎症をきたすことがあります。その場合は、元のできものの数倍の大きさにまで腫れあがることもあり、かなり嫌な思いをすることが多いので、そうなる前に摘出手術を受けた方が良いと考えています。

粉瘤(炎症なし)
下は粉瘤が炎症をきたした状態です。痛みがあり、さらに軽く触れるだけで強く痛みます。右側の症例はさらに皮ふが破れて自潰した状態です。

粉瘤(炎症)

粉瘤(炎症>自潰)
脂肪腫
皮下~筋肉内などにできるありふれたできものです。皮膚表面には通常何も変化がなく、少し盛り上がっているか、あるいは全く平坦で触ると分かるだけ、などで、ゴムボールのように軟らかいできものです。通常は痛みはありませんが、亜型の血管脂肪腫では圧痛を伴います。6cmを超えると悪性化リスクが上がるので、早めに摘出手術を受けるのが良いでしょう。全身麻酔が必要となる場合もあり、そのような場合は当院では対応できません。

脂肪腫(肘)
眼瞼黄色腫
上まぶたにできる、ほんの少し盛り上がって、薄黄色っぽい色味のできものです。左右およそ対称、内側寄りで、睫毛と眉毛の間くらいの高さにできることが多いですが、外側まで病変が広がることもあります。大きく広がりすぎると開瞼障害(目が開きにくくなる)をきたすこともあります。小さいうちに切除するのが良いでしょう。

眼瞼黄色腫(小さい)

眼瞼黄色腫(開眼障害を伴う)
脂腺母斑
生まれつきあって、頭部に多い母斑です。生まれた時は円形脱毛症のようで、しだいに盛り上がってきていぼ状になって、思春期以降にさまざまな皮膚腫瘍を発生します(あるいは変化する)。皮膚癌を発生する場合もあるため、切除が望ましい母斑の一つです。下の写真は10代前半でいぼ状になっている状態です。

脂腺母斑
青色母斑
やや青みがかっていて、普通のほくろとは少し違う印象を受けるような母斑です。悪性化することがあるとされていて、原則として切除をお勧めしています。

青色母斑(上口唇)

青色母斑(手関節)
皮膚癌
皮膚でみられる癌は、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫などがあります。最近急に大きくなってきた、見た目がいかにも整っていない、などが主な悪性のサインですが、紅斑(赤い)だけ、少し膨らんで見えるだけ、などの場合もあります。近隣の皮膚科の先生で皮膚癌と診断されてから、手術のために紹介されて受診して頂くのが基本となります。確実に癌を取り切るために余白をつけて切除するため、摘出した後の皮膚欠損部が大きくこれを単純に縫い縮められない場合が多く、植皮(ご自身の他の部位の皮膚を移植する)や皮弁移動(近くの皮膚を切り取らずに動かす)などで対応します。
手術前後の注意点
- 手術後数日は、熱いお風呂、飲酒、激しい運動などは控えて、なるべく安静にして頂きます
- 術後の腫れや内出血を予防するために、手術後1~2日程度はガーゼの上から傷口をよく冷やして下さい
- 手術の翌日に傷口の状態を診察致します。抜糸は1週間後のことが多いですが、手術の部位によっては2~4週間後となる場合もあります